国内線の予約クラス
国際線には予約クラスというものがあって、これがマイルやステータス対象ポイント取得に影響するため、皆様かなり気にされているかと思います。おそらく最初期は非常に単純なクラス分けであったと想像できます。Y/C/Fの3つから始まったのでしょう。その後、各種割引運賃の設定、プレミアムエコノミー導入などに伴い、無秩序に細分化された結果、今ではクラスを表すアルファベット一文字のみでは、何のことやらさっぱり、さらに航空会社によって分類が異なるなど、かなりのカオスぶり。従って、予約前の各航空会社のサイトでの予約クラスと積算率確認が必須である状況です。
この予約クラス、国内線ではどうでしょうか。国内線航空券は伝統的に日本語名で販売されており、国際線に比べれば直感的に理解ができます。ウルトラとスーパーなら、ウルトラのほうが安そうですもんね。ウルトラの母は凄そうですが、スーパーの母ではディスカウントされそう。先得と特便だけではよくわかりませんが、期限を表す数字がついているので先得28と特便21と書かれれば先得のほうが安そうです。まぁいいでしょう。
マイルやFOPの計算はもう少し分かりにくいとはいえ、高額な普通運賃は100%、割引運賃は75%、これにファーストやクラスJはさらに加算されると覚えておけば、普通の人は十分でしょう。ステータスを目指す我々にあっては、400FOPボーナスの有無などが重要になってきますが、これもざっくり先得は付かない、特便は付くくらいでも意外と必要十分です。なので、国内線の予約クラスを気にすることはまずない、もしくはY/J/Fの3種類だけど認識している方が多いのではないでしょうか。
ところが、いつものようにJAL国内線予約サイトを眺めていたところ・・・
javascriptの引数になにやら色々と・・・
プログラミングほぼ素人の自分でも、ここまで分かりやすいと解読してみようと思っちゃいます。左から・・・発時刻、着時刻、便名、なんかのコード1、機種、なんかのコード2、分からん、運賃、発地、着地、分からん、残席数、運賃名、なんかのコード3、乗継便名。
falseとなっているところは、かなりの数を見ましたが、全部falseでしたので、キャンセル可とかではないようです。運賃はまさか0で入力送信させれば0円で買える、そんな私なんかが思いつくようなセキュリティホールは埋めてあるでしょう。
気になるコード3つ、見比べていくとこれもすぐにわかりました。1個目は、運賃種別、2個目が予約クラス、3個目は座席クラスです。座席クラスはエコノミー、クラスJ、ファーストのY/J/Fです。
運賃種別コードと、それに対応する予約クラスをまとめました。自明と思いますが、予約クラスは右からエコノミー、クラスJ、ファーストです。
運賃種別 | 予約クラス | |||
OW | 普通運賃 | Y | J | F |
TFOW | 特別乗継割引 | Y | J | F |
HRT | 往復割引 | Y | J | F |
BK | ビジネスきっぷ | Y | J | F |
SF50 | 株主割引 | B | C | A |
CH | 小児普通運賃 | Y | J | F |
TFCH | 小児特別乗継割引 | Y | J | F |
CHSF50 | 小児株主割引 | B | C | A |
F01A | 特便1 | Q | C | A |
F03C | 特便3 | M | C | A |
F07C | 特便7 | M | C | A |
F21E | 特便21 | N | C | A |
NT28 | 乗継割引28 | W | L | |
S28A | 先得タイプA(28) | E | L | |
S28B | 先得タイプB(45) | V | ||
VX | スーパー先得 | W | ||
SX | ウルトラ先得 | W | ||
MFC | おともでマイル割引 | O | L | |
HF | 身体障がい者割引 | Y | J | F |
NF | 介護帰省割引 | Y | J |
ファーストはざっくり普通運賃系のFと割引運賃系のA、2種類ある設定です。当然、割引運賃の予約クラスは販売座席数が少なめに設定されており、Fは空席ありでもAは空席なし、というのはよくある。16席のファーストクラスに対して、予約クラスAの特便21でも△表示は見るので、約半分ほど割当られているのでしょうかね。
クラスJは普通運賃系のJ、割引運賃系1のC、割引運賃系2のLという3種類が設定されています。割引率に沿って、J>C>Lという割当です。元々は激安運賃系のための予約クラスLだったのでしょうが、今年度上半期に、よりお得な運賃については封鎖されたことは記憶に新しいところ。
これに対して、エコノミーは種類豊富です。Y,B,M,N,Q,E,O,V,Wと実に9種類。座席数の多いエコノミーを何とか効率的に販売したいというJALの気持ちを感じます。特便7と3が同じというのはわかりますが、地味にウルトラ先得とスーパー先得も同じなのが面白い。先得75で予約し、2ヶ月前(60日前)に特便21と比較して決める、という戦略は予約クラスからも理に適っていたのですね。あと、先得45といいつつ内部的には28の派生になっているところも、これまでの経緯を伺わせます。
さて、ANAはこのような日本語名運賃を改め、今年下半期から国際線と同じ「Super Value」等の表記へ移行します。
外国人観光客が日本国内線を予約する際の利便性を高めることが主目的でしょうが、予約クラスの整理統合といった面もあるのかもしれません。
ちなみに、JAL国内線をEnglishで見ると・・・
予約画面がそもそも異なりますね。自動的に最安値が選ばれ、他は差額表示という形式で、日本語サイトではダイナミックパッケージのシステムと似ています。日本語サイトと違って、任意の運賃種別を選択するシステムではないため、「FOPボーナスを得るためにあえて特便21を選択」といったようなことはできないようです。
さて、JALとANAはお互い双子のようなもの。仮にJALもANA同様、Special Saver方式の運賃表記に移行したとすればどうなるか、予約クラスを元に予測してみました。
・Flex Y/J/F 100/110/150% + 400FOP
・Standard Y/J/F 100/110/150% + 400FOP
・Saver B,M,N,Q/C/A 75/85/125% + 400FOP(ツアープレミアム対象外)
・Special Saver E,O,V,W/L 75/85/125%(ツアープレミアム対象)
これに期限日数を添記すれば、分かりやすいかな。ウルトラ先得→Special Saver75、特便21→Saver21とか。乗継割引はFOPボーナス計算がうまくこの分類と一致させられないので、廃止になる?株主割引はクーポンコード入力、介護や障がい者割引はしかるべき番号の登録へ移行ということで解決できるでしょう。
今回はwebで予約できない運賃種別については考察できませんでした。実際にはツアー用の予約クラスがあるはずです。アルファベットの空き具合を見ると、Kあたりでしょうかね。他にもスカイメイト運賃などもあるので、残り12文字が何に使われているのか想像するのも楽しいです。国際線で大活躍(?)の、D,I,S,X,Zあたりが使われてないんですね。
残り:D,G,H,I,K,P,R,S,T,U,X,Z
なお、BCD Travelで検索しても5種(ファースト/F、クラスJ/J、エコノミーY/H/G)しか出てきません。推測ですがこのサイトで検索できる航空券は国際線航空券のみと思われるので、JALの国際線国内線区間の予約クラスはこの5種類とも考えられますね。
一方、同じフライトのコードシェア先では、さらに多彩な運賃種別で販売されています。これも、国際線の運賃種別と連動していると考えれば納得できます。
既にANAからは今年下半期から国際線国内線区間のマイル等積算率を国際線の予約クラスと連動させると発表されていますが、経済的な理由のみならず予約クラスの管理方法から、JALもいずれはこれに追随するのではと思います。
てか、ANAはfare basisの解説まであるし、航空券の細かい話はJALより圧倒的に情報があるなぁ・・・半官半民出身のJALと純民間のANAの個性が分かって面白いか。
運賃種別コードも普通に載ってるじゃないすか、ANAさん!
JALもあったw